
駅から遠い賃貸アパートは、売却しようとしてもなかなか買い手が見つからないのではないかと、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際、同じ賃貸アパートでも駅からの距離や入居需要、空室率などによって評価が分かれ、売却価格や売却までの期間に大きな差が出やすくなります。
しかし、立地条件が不利に見える物件でも、収益性の整理や価格設定の工夫、ターゲットの明確化によって、納得できる条件での売却につなげることは十分に可能です。
この記事では、駅から遠い賃貸アパートが売れにくい理由から、適切な売却方法や価格の決め方、高く売るためのポイントまでを、初めての方でも理解しやすいように順を追って解説します。
売却か賃貸経営の継続かで迷っている場合の判断基準もご紹介しますので、自身の資産をどう活かすかを考えるうえでの参考にしてください。
駅から遠い賃貸アパートが売れにくい理由

不動産広告では、駅からの徒歩分数は「道路距離80mを1分」として算出することが定められており、徒歩1分未満の端数は切り上げて表示されます。
この基準から換算すると、徒歩15分程度で約1.2km、徒歩20分前後で約1.6kmとなり、多くの購入検討者はこの範囲を「駅から遠い」と感じやすい傾向があります。
実際に、既存住宅の価格査定マニュアルなどでも、駅から近いほど評点が高くなり、駅徒歩分数が増えるほど評価額が下がる考え方が用いられています。
こうした評価構造があるため、賃貸アパートも駅から遠くなるほど購入検討の間口が狭くなり、売却のしやすさに差が出やすくなります。
賃貸アパートの売却では、将来の家賃収入と空室リスクが重視されるため、駅から遠い立地は入居需要の面で不利になりやすいです。
不動産投資向けの分析では、駅徒歩10分以内と比較して15分以上になると入居率が下がり、家賃水準も低下しやすいというデータが示されています。
また、築年数が経過し、外観や共用部の管理状態が十分でない場合、駅から遠い物件ほど入居者の選択肢から外れやすくなり、結果として空室期間の長期化につながります。
このように、賃貸アパート特有の入居需要や空室率、築年数や管理状態が複合的に影響し、収益性の低下として売却価格にも反映されやすくなります。
さらに、駅から遠い賃貸アパートでは、周辺の生活環境や治安、周辺に存在する賃貸物件数と賃料水準も売却のしやすさを左右します。
たとえば、同じような間取りや築年数の賃貸アパートが周辺に多く、家賃が下がり気味のエリアでは、入居募集で条件を下げざるを得ず、収益性が相対的に見劣りしやすくなります。
また、夜間の人通りや街灯の有無、周辺道路の歩きやすさなど、安全面や日常の利便性に不安がある環境では、入居者が集まりにくく、その評価が投資家や購入検討者にも共有されます。
このように、駅距離だけでなく生活環境や競合状況が重なった場合、駅から遠い賃貸アパートは、より一層売れにくくなりやすいのです。
| 要因 | 駅から遠い場合の状況 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 駅からの徒歩分数 | 徒歩15分超の距離 | 購入検討者の減少 |
| 入居需要と空室率 | 入居率低下や賃料下落 | 収益性低下による価格圧力 |
| 周辺環境と競合物件 | 生活利便性や治安の不安 | 買い手からの評価低下 |
駅から遠い賃貸アパートの適切な売却価格の決め方

収益還元法は、賃貸アパートが将来生み出すと見込まれる純収益を基に価格を求める考え方です。
年間家賃収入から空室や未収を考慮した実際の稼働率を反映し、さらに管理費や修繕費、固定資産税などの運営経費を差し引いて純収益を算出します。
その純収益を、市場で想定される利回りで割り戻すことで、おおよその売却価格の目安が導かれます。
したがって、家賃水準と稼働率、運営経費の見積もりが、売却価格の妥当性を左右する重要な要素になります。
駅から遠い立地では、入居者が交通面の不便さを補えると感じる賃料水準に設定することが前提になります。
同種の物件より高い賃料を維持しようとすると稼働率の低下につながり、結果として純収益が下がり売却価格にも悪影響が出ます。
一方で、適正な賃料に見直し安定した入居を確保できれば、利回りはある程度確保しつつ価格の大幅な下落を抑えられます。
売却前には、期待利回りを意識しつつ、賃料と稼働率のバランスを取りながら価格調整を行うことが大切です。
相場から外れない売却価格を把握するためには、公的な統計や成約事例の情報を組み合わせて確認することが有効です。
公的機関が公表する住宅・土地関連の調査では、立地条件や用途別に賃貸住宅の需給状況や家賃水準、空室の傾向などが示されています。
また、不動産市場の動向をまとめた資料には、収益物件の利回り水準や取引の傾向が整理されており、駅距離が長い物件の価格水準を検討する際の参考になります。
こうした客観的なデータを踏まえつつ、実際の成約事例と照らし合わせることで、現実的な売却価格のレンジを絞り込むことができます。
| 確認すべき項目 | 主な内容 | 売却価格への影響 |
|---|---|---|
| 家賃水準と稼働率 | 現行賃料と満室率 | 純収益と利回り |
| 運営経費の内訳 | 管理費や修繕費等 | 年間純収益の圧縮 |
| 統計と成約事例 | 公的調査と市場動向 | 相場レンジの妥当性 |
駅から遠い賃貸アパートを高く売るための工夫

駅から遠い賃貸アパートでも、静かな住環境や広めの住戸、駐車スペースが確保しやすい点など、立地ならではの強みがあります。
国土交通省や住宅関連統計では、賃貸住宅の入居理由として家賃や間取りと同様に住環境を重視する傾向が示されており、必ずしも駅近だけが選ばれているわけではありません。
そのため、周辺の交通量が少なく騒音が限定的であることや、敷地内外で車を利用しやすいことをわかりやすく整理し、購入検討者に伝えることが大切です。
こうした情報を丁寧に提示することで、駅距離の弱点を補いながら、物件の魅力を適正に評価してもらいやすくなります。
次に重要となるのは、立地特性に合った明確な入居ターゲットを想定することです。
国土交通省や住宅金融支援機構などの調査では、賃貸住宅の入居者が物件選びで重視する点として、家賃や間取りのほか、通勤通学手段や車利用の有無など生活スタイルが影響していることが読み取れます。
そのため、車通勤が中心の世帯や、静かな環境を求めるファミリー層、自宅周辺で日常生活が完結しやすいシニア層など、想定する層ごとに訴求ポイントを整理することが有効です。
具体的には、駐車場台数や周辺道路の混雑状況、近隣の買い物施設や医療機関の距離などを示し、日常の動線をイメージしやすく伝える工夫が求められます。
さらに、売却前には最低限の修繕や原状回復、建物や賃貸運営に関する資料整備を行うことで、購入検討者の不安を抑えることができます。
総務省や国土交通省の統計では、賃貸住宅ストックの老朽化や空き家の増加が指摘されており、建物の状態や維持管理の履歴が一層重視される傾向にあります。
具体的には、共用部の清掃や破損箇所の補修、外壁や屋根の劣化状況の確認に加え、長期修繕の実施状況、設備更新の記録、賃貸借契約書や賃料収支の資料を整理しておくことが重要です。
こうした準備を行うことで、購入後の修繕リスクを明確にし、安定した賃貸経営が見込める物件として評価されやすくなり、結果として売却価格の下支えにつながります。
| 工夫の種類 | 具体的な内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 立地の強み整理 | 静かな環境や駐車場確保 | 駅距離の弱点を補う訴求 |
| ターゲット設定 | 車通勤層やファミリー層 | 入居需要を意識した提案 |
| 修繕と資料整備 | 共用部補修と収支資料整備 | 購入後の不安軽減と信頼向上 |
売却前に検討したい賃貸経営継続か売却かの判断基準

まずは、駅から遠い賃貸アパートを保有し続ける場合のコストを整理することが大切です。
代表的なものとして、空室発生により家賃収入が減る空室リスク、建物や設備の老朽化に伴う修繕費、固定資産税や都市計画税などの税負担があります。
さらに、管理委託料や共用部の光熱費、保険料なども継続的に発生します。
こうした支出と現在の実質利回りを比較し、長期的に採算が合うかどうかを見極める必要があります。
次に、今後の家賃水準や入居需要の変化を想定したうえで、売却タイミングを考えることが重要です。
賃貸住宅市場では、築年数の経過に伴い家賃が下がりやすく、駅から遠い物件ほど影響を受けやすい傾向があります。
また、人口構成や世帯数、世帯の所得水準の変化によって、需要が減少すると長期空室が生じやすくなります。
収支が黒字のうちに売却するのか、一定の修繕を行ってから売却するのかなど、複数のシナリオを比較しながら検討することが望ましいです。
さらに、売却によって得られる資金や将来の相続を踏まえた判断も欠かせません。
例えば、老朽化が進んだ賃貸アパートを相続すると、相続人が管理や修繕費の負担に悩まされるおそれがあります。
一方で、売却資金を活用して、管理しやすい不動産や他の資産に入れ替えることで、収益性や流動性を高められる場合もあります。
資産全体のバランスや家族の事情を整理し、「保有を続けるメリット」と「売却するメリット」を比較して判断することが大切です。
| 判断項目 | 継続の場合の確認点 | 売却の場合の確認点 |
|---|---|---|
| 収支・利回り | 空室率と修繕費を含む年間手残り | 売却価格と残債・税金控除後の手取り |
| 将来の需要 | 周辺人口推移と賃料の下落傾向 | 需要が残るうちに売却可能か |
| 家族・相続 | 相続後の管理負担と分割のしやすさ | 相続前に現金化しておく必要性 |
まとめ
駅から遠い賃貸アパートは、価格設定や見せ方次第で十分に売却が可能です。
収益還元法で家賃や稼働率を整理し、相場から大きく外れない価格レンジを押さえることが大切です。
静かな住環境や駐車場などの強みを明確にし、車通勤層やファミリー層など相性の良い層に照準を合わせて訴求しましょう。
売却と賃貸経営継続のメリットを比較しつつ、保有コストや将来の修繕計画も一緒に検討する必要があります。
当社では、駅から遠い賃貸アパートの特徴を丁寧に分析し、お客様の状況に合わせた売却戦略をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。
