「アパートの投資物件を売却したいが、買取価格はどのくらいになるのか」「仲介と比べて早く現金化できるのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、アパート投資物件の買取価格の相場や算出方法、仲介と買取の違い、価格に影響する具体的なポイント、さらに査定依頼から売却完了までの流れと注意点をわかりやすく解説します。売却をスムーズに進めるためのポイントも詳しくご案内しますので、ぜひ最後までご覧ください。
アパート投資物件を買取に出す際の買取価格の相場

アパート投資物件の買取価格は、主に〈立地〉〈築年数・構造〉〈収益性〉などの要素によって決まります。立地については、首都圏などの都市部は利便性や資産性が高いため価格も高くなる傾向にあります。一方、地方では地価が低いため利回りは高くなりますが、物件の評価額は低めになります。例えば、健美家の統計では首都圏の一棟アパートの平均価格が約八千八百万円前後で推移している一方、全国平均は約七千九百万円前後と差があります 。また、築年数が浅いほど価格は高く、築十年未満では平均一億一千万円超、築二十年以上では五千万円台前半となる傾向があります 。
次に、買取価格の目安として収益性を踏まえた算出方法が用いられます。最も簡便で一般的な「直接還元法」では、年間の純収益(家賃収入から経費等を差し引いた額)を還元利回りで割って買取価格を求めます。利回りの目安は、エリアや物件条件によって異なりますが、概ね四~七%程度とされています 。例えば、年間純収益が六百万円、期待利回りを五%と想定すると、六百万円 ÷ 0.05=一億二千万円が買取価格の目安となります 。
下記の表に、上記の要素を簡単に整理しました。
| 要素 | 影響内容 | 例示 |
|---|---|---|
| 立地 | 都市部ほど買取価格が高く、地方は利回り高め | 首都圏:約八千八百万円、全国平均:約七千九百万円 |
| 築年数・構造 | 築浅・堅牢構造ほど価格高 | 築10年未満:約一億一千万円、築20年以上:約五千万円 |
| 収益性(利回り) | 純収益 ÷ 利回りで算出 | 純収益600万円 ÷ 5%=1億2000万円 |
仲介売却との価格差とスピード感の比較

アパートなどの投資物件を買取で売却する際、仲介売却と比較して価格面では一般的に安くなるものの、その分スピードや手間の面で大きなメリットがあります。
まず、価格差についてですが、不動産の買取価格は、仲介による売却相場の約7割から8割とされています。これは、不動産会社が買い取った後にリフォームや修繕、再販にかかる費用や利益、所有期間中の税費などを差し引いて買取価格を設定するためです。
一方で買取による売却は、仲介と比較して圧倒的にスピードが早い点が強みです。仲介での売却には、購入希望者の内覧対応や交渉、ローン審査など手間と時間がかかり、通常3か月から半年程度、場合によっては1年以上かかることもあります。これに対し買取では、査定から契約、決済まで早ければ数日あるいは1週間から10日程度で完了するケースもあるため、迅速な現金化が可能です。
要点を表にまとめます。
| 比較項目 | 仲介売却 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場相場に近く高い | 相場の約7~8割程度 |
| 売却スピード | 数か月~1年以上かかる場合も | 数日〜数週間以内に現金化可能 |
| 手間・負担 | 内覧対応や交渉、広告掲載が必要 | 手続きが簡潔で手間が少ない |
このように、投資物件の売却では、価格を優先するか、スピードや手間の少なさを優先するかにより、適した売却方法が異なります。売却を急いでいる方や、手続き負担を減らしたい方には買取が特に向いていますし、より高い価格での売却を重視する方には仲介が適しているといえます。
買取価格に影響する具体的なポイント
投資用アパートの買取価格に影響する要素は多岐にわたりますが、特に重要なものを以下のように整理いたします。
| 影響するポイント | 内容 | 具体例や注意点 |
|---|---|---|
| 築年数・構造 | 建物の経年劣化と法定耐用年数の残り年数が査定に直結します | 木造(耐用年数22年)、軽量鉄骨(27年)、重量鉄骨(34年)など構造により異なります。耐用年数を超えると価格が大幅に下がる傾向です |
| 空室状況・入居率 | 入居が続いていない物件は収益性の低下が懸念され、買取評価が下がります | 築年数が経過したアパートほど空室率が高くなりがちで、投資家には敬遠されやすくなります |
| 権利関係・売却準備 | 権利関係が不明瞭だと買取前に不安要素となります | 所有権、抵当権抹消、測量などの資料を整理しておくとスムーズに進みます |
また、査定依頼をする前にご準備いただきたい資料や情報には、以下のような項目があります。
- 建築確認済証や検査済証、耐用年数に関する資料(構造別の法定耐用年数など)
- 過去数年分の収支実績(家賃収入、修繕費、管理費など)
- 現在の入居状況と空室率、賃貸稼働実績
- 登記簿謄本、抵当権設定証明書、境界を明示する測量図などの権利関係資料
これらを整えておくことで、査定担当者は現実的な買取価格を提示しやすくなりますし、お客様ご自身も売却の判断がしやすくなります。
査定依頼・買取までの流れと注意点


アパート投資物件の買取査定から買取完了までの流れを段階ごとにご説明いたします。また、その過程で注意しておくべき税金や費用、登記手続きなど、後の負担を避けるためのポイントも整理いたします。
| ステップ | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 査定依頼〜価格提示 | 立地や築年数、収益性に基づき不動産会社が査定を行い、買取価格を提示します。 | 価格提示の内容(条件や諸経費の扱いなど)をしっかり確認することが重要です。 |
| 2. 契約書作成・印紙税の納付 | 売買契約書を作成し、印紙税を貼付して消印して納税します。契約金額に応じて税額が変動します。 | 軽減税率の適用期限など最新情報を確認し、漏れのないように印紙処理を行ってください(例:契約金額が5,000万円超1億円以下の場合、印紙税3万円など)。 |
| 3. 登記・抵当権抹消の手続き | ローン残債がある場合には繰上返済と抵当権抹消、所有権移転登記の手続きを司法書士に依頼します。 | 登録免許税や司法書士報酬、銀行手数料などの費用を確認し、負担すべき範囲を明確にしておくことが大事です。 |
| 4. 引き渡し・確定申告 | 物件の引き渡しと決済を行い、売却益がある場合は翌年に確定申告を行います。 | 取得費や諸経費を正確に整理し、長期譲渡所得か短期譲渡所得かに応じた税率で申告します。 |
以下、それぞれのステップに関する具体的な注意点をさらにご案内いたします。
まず、査定依頼の際は、立地や築年数、家賃収入・稼働率など収益性が査定に深く影響します。収益還元法に基づき、年間家賃収入などを基準に価格が算出される場合もありますので、正確な数字を用意しておくと査定精度が高まります。
次に売買契約書を作成する段では、印紙税の漏れを防ぐことが大切です。例えば、「契約金額が5,000万円超1億円以下の場合、軽減後印紙税は3万円」です(軽減措置は期限付きの場合があります)。また、売主と買主でそれぞれ1通ずつ契約書を保有する場合、多くのケースでは印紙税をそれぞれ負担しますので、実印の日付や消印忘れに注意してください。
登記手続きにおいては、ローン残債がある場合、繰上返済に伴う手数料や、抵当権抹消の登録免許税および司法書士報酬が発生します。登録免許税は土地と建物それぞれにかかり、登記を司法書士に依頼すると1~2万円程度の報酬を想定しておくことが必要です。
最後に売却後の確定申告では、譲渡所得の計算が不可欠です。「譲渡所得=売却価格−(取得費+売却費用)」という計算式により利益を算出し、それに応じた税率が適用されます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得(税率:約20.315%)、5年以下の場合は短期譲渡所得(税率:約39.63%)となります。
以上の流れと注意点をふまえて準備を進めていただければ、スムーズな売却と安心の事後対応につながります。
まとめ
アパートなどの投資物件を売却する際は、買取価格が築年数や立地、構造だけでなく空室状況や権利の整理状況など、多くの要素で決定されます。買取は仲介に比べて価格がやや抑えられる傾向にありますが、手間が少なく迅速な現金化ができる点が魅力です。売却を円滑に進めるためには、事前に必要書類を揃え、税金や登記の手続きにも気を配ることが大切です。ひとつひとつ整理しながら丁寧に準備を進めましょう。
